5時から作家塾

第3章 書店の謎

◆なぜ書店に行くとウンコがしたくなるのか?

 なぜ? なぜに人々は書店に行くと無性に「ウンコ」がしたくなってしまうのでしょうか? 実際私も"よその"書店にふらりと立ち寄りますと、それまで全くもってなんとも感じなかったハズの便意が突如襲って来るのでございます。私のまわりの人々も「私も私も」という意見が多のです。

 これは私が住む北海道○○市限定ローカル現象のみならず、全国、いや世界規模の現象である模様。しかしそれにしてもどうしてどうして、無性にトイレに、しかも大きいほうをモヨオシテしまうのか? これは出版業界・活字中毒者の永遠のテーマであるらしく、今まで多くの雑誌・テレビが取り上げております。実際書店のトイレは混んでます。繁盛してます。そして書店員は本当に一日に何度も何度も、
「トイレどこ?」
 と、お客様に訊ねられるのでございます。いったい全体なんでそんな摩訶不思議な怪現象が起こるのやら? ここで考えられる原因をばピックアップしてみようかと思います。

@ 印刷されたインクの匂いが便意を誘発する。
A 書店に漂うホコリが便意を誘発する。
B 本を閲しているうちにまぶたがさがりリラックスした結果、便意を誘発。
C その反対に活字を前にしての緊張感により、またしても便意を誘発。

 等々、様々な説が立てられております。しかしこの中のどれが決定打か、いやそれとも全く未知なる原因によるものなのか、未だもって解明されていない世界の七不思議でございます。つうか、リラックスしても緊張しても、どちらに転んでも便意を誘発するのは同じではないか。書店店内においては「便意」という呪縛からは逃れる事は出来ないのでありましょうか。

 ここで私は上記の4説に加えて新たなる仮説を立ててみようかと。題して「サブリミナル説」。
 サブリミナル効果というものについては、非常に有名な話があります。カナリ昔の話ですが、とある映画館で、映画の何十分の一コマに「コーラ」の画像を挿入したそうです。で、その映画が終わった後のロビーには、コーラを買い求めるお客の列・列・列……。
 そんな要領で、きっと本の紙には便意をもよおす暗号のようなものが刷り込まれているのではないか? と。店頭の本を眺めることによって、お客は皆便意をもよおすようコントロールされているのではなかろうか。いや、こんな馬鹿なハナシはあるわけない。よってこの仮説は「ボツ」。

 と、私の方で一方的に問題提起しておきながら、結局解決せぬままに終わってしまいましたが、とりあえず本件については宿便、もとい宿題とさせていただこうかと……。何とも残尿感の如きスッキリしない締め括り方で本当に申し訳ないことこの上ございません。
 私が思うにかように便意をもよおす書店という特殊な環境に従事している書店員の皆様はおそらく例外なくお通じがよろしいかと思いますが如何なものでしょうか? 便秘にお悩みの方、このさい思い切って書店員になってみませんか?
 と、言いたい所ですが、これが本の海にどっぷりとつかる書店員となりますと、この法則は適用除外となるようで。便秘にお悩みの書店員というのも実は多いのでございます。

 ここで一応結論みたいなものを書かせていただきますと、一度書店で便意をもよおしてしまうと、次もまたその次も書店に行くとまたきっと便意をもよおしてしまうのではないかしらん? といったトラウマに陥る、つうことも無きにしも非ずなのではないかと。そしてそれは、「恐怖の書店便意スパイラル」となって人々を襲い、そしてグローバルスタンダード化していくのではなかろうかと(何だそれは)。

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