応募結果発表

第 4 回 (締め切り/2001年5月7日)
総評
 企画が通る本、書店で売れる本は2つしかない。
(A)有名人が書いたもの=内容よりもネームバリューで勝負。
(B)無名人であるが、テーマがユニークで斬新なもの=切り口の新鮮さで勝負。類書も少なく、競争も少ない。
 全体的に、企画書の質・レベルは、第一回目よりも向上している。しかし、「売り場面積の狭い書店」に置かれる内容かどうか? 今回、審査で多かったのが、「面白いけれど、あと1歩パンチが足りない」という点である。つまり、野球で言えば、塁には出てランナーはためるが、「決定打」に欠け、得点できない=企画がPASSできないのである。では、PASSするためには、どうしたらよいのか?もちろん、上記の(B)をクリアーしておくことはいうまでもないが、次の5点も調べて吟味した上で、企画書提出をしよう。
  1. 類書がないかどうか、チェックする=インターネット、それから書店でもコンピュータ検索機がある。
  2. 自慢話・エッセイ・日記・自己満足の企画ではないかどうか?
    =そこから得たノウハウを書く。おナミダ頂戴ものは、自費出版の道に進むことになる。
  3. タイトルにインパクトを持たせる。=買いたい!読みたい!と思わせる書名かどうか?=書店や新聞・雑誌で、「本の売れ行きランキング」を入念にチェックし、近況をつかむ。
  4. 企画がPASSしたら、実際書けるかどうか、のPR=今まで本を書いたことがなくても、ホームページでエッセイを書いている、雑誌の連載を少しした経験がある…など文章にどれだけ日々触れているかを著者の立場で書いておこう。絶対プラスになる。
  5. 当ホームページの以前の応募コメントも熟読しておく。
 今回の応募の中で、2.3.が欠けている企画書が特に目立った。「5時から作家」になるためには、誰も真似することができない、ユニークな職業・趣味・体験をベースに料理していこう。出版社は、個性のある企画・スキマネタを探している。 【5時から作家塾 塾長 唐沢 明】

『中南米・ラテンのこころ』
ペンネーム SO
寸 評  テーマとしては、斬新で切り口も面白い。しかし、エッセイ集では、書店の棚か、補充ラックに埋もれてしまう。平積みされても、よほどネームバリューのある著者でもない限り、立ち読みで終わってしまう。TVでは、TBS系の『ウルルン滞在記』や『ここがヘンだよ日本人』などのドキュメンタリー番組で、数多く取り上げられている。書籍ならではの「中南米ではこんなことが行なわれている」という、ある意味、マニアックな、今までTVで取り上げられなかった、現地に行った人間でないとわからない内容を盛り付けよう。あと、設定価格はもっと安く。1000円でおつりが欲しい。四六判ではなく、新書・文庫読みきりの、学研M文庫、三笠書房王様文庫あたりがストライクゾーンか? また、本は8割方、タイトルで決まる。『中南米のこころ』では、書店さんも、旅行記か、エッセイか、ドキュメンタリーか、写真集か、ポエムか、サブカルチャーか、どのコーナーなのか、持っていきにくいし、第一、読者に対するインパクトがなさすぎる。タイトルも再検討。【塾長 唐沢 明】
『趣味のキャッチコピー入門』
ペンネーム KH
寸 評  かつては、『楽しい園芸』『実践!ウサギの飼い方』『野菜をベランダで育てる45の知恵』『ゼロから始める英会話』などの趣味の本が売れていた時代があったが、今は書店の棚に置かれ、ほこりをかぶってしまうのが関の山。今は、『TOEICで300点上げる独習マニュアル』『ホームページで350万円儲ける方法』『独立・開業なんでもマニュアル』『夢の印税生活をゲットする本』『STEPUPはじめての転職バイブル』などのように、「お金」「収益」「儲かる」というキーワードで本が売れている。不況の今、当然の動向だろう。本企画は、前者で書店と読者のニーズに合っていない「趣味本」。できれば、これを売れる「特技本」に変身させたい。糸井重里や、いとうせいこう、天野祐吉のように、ネームバリューのあるコピーライターが「素人に捧げる週末コピーライターのススメ」という切り口なら、部数もある程度見込める。ここは、『コピーの達人でマンションを購入する33のレシピ』とか『40歳からのコピーライターゴージャス生活のススメ』『公募ガイドのコピー部門で180%賞をゲットできる本』など、読者に「利益」「利点」「収益」を与える切り口にしよう。そうすれば、本書も飛ぶように売れ、著者も「利益」「収益」をゲットできるだろう。【塾長 唐沢 明】
番外作 『白馬に乗った王子現る!』
ペンネーム FY
寸 評  FYさんは言う、「3高なんてもう古い。今、3低男――背が低い、収入が低い、自分より若い――が狙い目だ!」と。目次案では「エリートはインケンで軟弱」「晩婚も悪くないでしょ?」「私はこうして幸せな結婚生活を手に入れた」と続くのだが、はっきり言って後半以降の幸せ自慢は聞きたくない。独身男には励みになることはあっても、女性には嫌味にしか聞こえないだろう。
 構成案にある「私が見て来たエリートたち。彼らは結構インケンで軟弱であった」の中身は、3高男に恨みでもあるのか? と思わせるほどだが、寧ろ、3高男とのお付き合いや、3高男と付き合っていた友人たちの経験から、「これからは3低男が狙い目だ!」という結論に至った過程こそ知りたい。もし、それらを性体験の部分も含めて書けるようだと、面白い本になる可能性がある。
 「だめんず・うぉーかー」(倉田真由美/SPA!)が参考になるかもしれない――逆に、そういう路線でないと難しいのではないか。【ISIZE BOOK Webmaster】
『カップル喫茶へ行こう』
ペンネーム エロ子
寸 評 「天職はイメクラ嬢だと思っている」というエロ子さんからの応募。ここのところ、風俗嬢などの告白ものやエッセイが売れ線の一つである。当サイトで連載中の「愛情図書館」(藤本由香里)にも、そういった本がいくつも出てくる。
 構成・目次案を見た限りでは、「カップル喫茶活用術」といった観が強いが、寧ろ、「行く相手を探そう」「私たちもこんなことしちゃうの!?」「(秘)体験レポート」といった類いのネタをどこまで展開できるか? それによっては、かなり面白くなりそうな期待感はある。カップル喫茶という古そうで新しい、マイナーかつニッチなネタだけに、昨年の12月に発売されている類書「・・・・・・実践講座」との差別化ができればいけるかもしれない。謂わば、「目指せ! 『実録企画モノ』(卯月妙子)」、といった方向だろう。活字本がダメでも、マンガの原作という可能性があるかもしれない。【ISIZE BOOK Webmaster】
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